WRO2018 Japan決勝大会

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9月9日(日)石川県金沢市医王山スポーツセンターにて「WRO2018 Japan 決勝大会」が開催されました。

WROは世界74の国と地域で6万人以上の小中高校生が参加するロボット競技会です。例年東京で行われていた全国大会ですが、今年からはいろんな地域でロボット競技に取り組む子どもたちを増やしていくきっかけづくりにするために、北陸に舞台を移しての開催となりました。全国41地区で約2000チームが参加した公認予選会を見事突破した代表チームが、一堂に会して熱戦を繰り広げました。

プログラボからは、レギュラーカテゴリーにおいて、エキスパート競技中学生部門に2チーム、エキスパート競技小学生部門に1チーム、ミドル競技中学生部門に1チーム、ミドル競技小学生部門に2チーム、計6チーム14名が参加しました。
今年は、出場各チームの大会での様子を、それぞれの担当コーチよりご報告します。

■チーム名 ダブルオー
■カテゴリー ミドル競技小学生部門
■所属教室 プログラボ四条烏丸
■予選地区 京都大会

「ダブルオー」チームは、初めての全国大会ということもあり少し緊張した面持ち。競技開始の合図で組み立てたロボットを早速試走させますが、練習の時はできていたはずの動きができません。原因もわからず、ただただ時間が過ぎていくばかり。それでもなんとか焦りと戦いながらもう一度チームで協力して課題に立ち向かっていき、ロボットも少しはコントロールでき始めたかな、というところで1回目の競技に。惜しくもライントレースが外れ途中リタイヤとなりました。

再調整時間は20分しかありません。ですが彼らは目いっぱいチャレンジしていきました。そして時間となり2回目の競技。今度は先ほどと違うところでライントレースが外れ途中リタイヤ。悔しい結果となってしまいました。

しかし、選手たちの表情には晴れやかさがありました。いつもと違う環境、限られた時間、プレッシャーの中で試行錯誤を重ね、ベストを尽くした挑戦者の顔がそこにはありました。おそらく彼らはまたチャレンジャーとしてこの場に挑んでくれる事でしょう。そしてその時は今よりももっと成長した姿を見せてくれるに違いありません。(吉田)

■チーム名 ロボットTKT
■カテゴリー エキスパート競技小学生部門
■所属教室 プログラボ夙川
■予選地区 兵庫大会

■チーム名 M&I
■カテゴリー エキスパート競技中学生部門
■所属教室 プログラボ夙川
■予選地区 兵庫大会

今年は、夙川からは小学生と、中学生のエキスパートでそれぞれ1チームずつが出場しました。競技のレベルが年々向上しており、当日発表されたサプライズルールについても、チームのロボットによっては、その機構上、トライすることが困難なものでありました。また当日の天候のこともあり会場の暗さや、照明の色など、調整しなければならないこともたくさんあります。

「ロボットTKT」チームのロボットの場合は、たった一つだけサプライズをクリアする方法がありましたが、果たしてそれに気付いてくれるか・・・私たちは調整時間の間、彼らがどうやってそれらの課題を克服していくのか見守るしかありません。そんな中でも調整を繰り返すうちに、ロボットが少しずつ安定して動き出し、サプライズも唯一と思われた方法にたどりつき、調整時間中にはかなり期待の持てる状態にまで仕上がってきました。

しかし1回目の競技では途中でルートがずれてしまい失敗。2回目の競技までの短い調整時間の中で、再び対策を練り直さなければなりません。後で知ったことですが、私がその時に考えていた対策方法と同じことを彼らも考えて実行していたそうです。

いよいよ2回目の競技。サプライズもうまくクリアできそうな状態に動作しましたが、その時にブロックを取り分けるアームがほんのわずか1mm程度ずれたまま次のブロックに差し掛かり・・・サプライズには成功したものの、2回目の競技も満点を獲得することはできませんでした。

一方、「M&I」チームは、大会直前まで微調整を繰り返しかなりロボットの精度は上がっていましたが、不安な点がいくつか残ったままでしたので、そこさえうまくクリアできれば、上位を狙えるような状態でした。

1回目の競技では、立ち上がりは最高の状態でしたが、一番不安だった移動のところでわずかながらずれてしまい壁にぶつかってしまったため、その後の課題がクリアできませんでした。

そこさえ再度調整できれば2回目の競技でいける、そう思っていましたが、2回目の競技では今までほとんどミスをしたことがないようなところでロボットがずれてしまい、1回目の結果を上回ることはできませんでした。

今年は残念ながら2チームとも得点としての結果は残すことはできませんでしたが、チームで作戦を立て、ロボットを調整し、課題に果敢にトライする姿を見ることができました。それは日々の活動の中で、時には私達のアドバイスを否定し、自ら考えて取り組む姿勢が存分に発揮された結果なのではないかと思います。

もちろん結果が出ればそれが一番良いのかもしれませんが、それよりも本当に大事なことは何なのかを、あらためて子ども達の行動から気付かされた気がしました。(若田)

■チーム名 フレンズロボット
■カテゴリー ミドル競技小学生部門
■所属教室 プログラボ千里中央
■予選地区 大阪北大会

■チーム名 SSMJ
■カテゴリー ミドル競技中学生部門
■所属教室 プログラボ千里中央
■予選地区 大阪北大会

■チーム名 2nd Challengers
■カテゴリー エキスパート競技中学生部門
■所属教室 プログラボ千里中央
■予選地区 大阪北大会

「フレンズロボット」チームは小学4年生の女子3人チーム。大会前は、なかなか3人揃って練習ができなかったり、コミュニケーションがうまくいかず涙を流したりと決して順風満帆ではありませんでした。しかし、小学6年生の女子3人でエキスパート競技にチャレンジした先輩たちが、自チームの地方予選敗退後も練習に参加し、大舞台に挑む後輩たちのよき相談役となってくれました。その甲斐もあってか、目に見えてチームワークもよくなり、メンバーそれぞれが主体的に取り組む姿に成長を感じました。

そして迎えた大会当日。ロボットがコースアウトすると机から落下して破損しかねないという厳しい環境でしたが、3人は息をピッタリ合わせ、調整に取り組んでいました。また、待ち時間なども含めて長時間の競技にも、集中力を切らさず、最後まで諦めずに取り組んでくれました。競技終了後も、「やり切った」という笑顔が見られ、入賞こそなりませんでしたが、この大会を通じて3人が手に入れたものは、トロフィー以上に価値のあるものだったように思います。

「SSMJ」チームは中学1年生と小学6年生の2人チーム。昨年のWRO大阪大会ベーシック競技高学年部門で優勝し、今年ミドル競技で初の全国大会出場を果たしました。昨年は豊中校の生徒だった2人ですが、メンバーの1人が転居により千里中央校に転校。一度は離れ離れになったものの、WROを前に「もう一度昨年と同じチームで挑みたい!」との強い思いで、教室をまたいでの再結成となりました。

大会当日は、初めこそ難しいサプライズルールに苦戦していましたが、試走では成功させるなど順調な調整をしていたかのように見えました。しかし、本番ではセンサーの誤認識などに苦しみ、結果は5位。目指していた表彰台にはあと一歩届きませんでしたが、この経験と悔しさをバネに、来年はエキスパート競技で再び大活躍してくれることと思います。

そして、今大会最も難しいとも言われたエキスパート競技中学生部門に挑んだのが「2nd Challengers」チームです。チーム名には、昨年ミドル競技で全国準優勝だったメンバーたちの、今年に賭ける思いが込められています。ロボットの設計にも相当苦労しました。試作機を作っては壊し、作っては壊し、ようやく5度目の再設計でたどり着いたのは、オブジェクトを運搬する機構が、水平方向に開閉しつつ垂直方向にも上下できる、どこのインターネット動画にも載っていない唯一無二のロボットでした。

満を持して挑んだ大会当日。練習してきた環境と異なるコースの硬さや大雨による湿度などに苦しみながらも、サプライズルールに果敢に挑んでいきました。1回目の競技、ほとんどのチームがサプライズルールへの挑戦を避けて安全策を取る中、リスクを取ってチャレンジし続けた3人。2回目の競技でもその姿勢は一貫していました。そして見事、難解なサプライズからの得点を果たしたのでした。

結果としては基礎点の崩れが響き、惜しくも入賞はなりませんでした。なお、今年のエキスパート競技中学生部門は、世界大会へ上位2チームのみの派遣となりました。その選考理由として「上位入賞し、かつサプライズルールにチャレンジしていたチーム」と発表されるのを聞きながら、彼らの堂々たる戦いぶりに改めて、誇らしい思いでした。

いずれのチームも、大阪代表の名に恥じない立派な姿を見せてくれたように思います(延命寺)

今年も選手たちは本当によく頑張りました。競技である以上、全員が思っていた結果を手にすることはできませんが、この夏の経験が、選手たちの成長の一助になればと願ってやみません。夢を実現するべく挑み続けたその背中に、温かい拍手をお願いいたします。

今後もプログラボでは、様々なロボットコンテストへの出場を通じて、未来を担う子どもたちの「夢を実現するチカラ」を育んで参ります。地方大会、全国大会と長きにわたる大会期間中、数多くのご支援、ご声援を賜りまして、誠にありがとうございました。